Apple Vison Proを使っています
7月から、Appleの Vision Proを購入して使っています。 自分の中での評価が定まってきたので記事にしてみます。
購入前に考えていたこと
Apple Vision Proが発表された時点で少し気になっていました。
Macの仮想ディスプレイとして使いたい
本業のフロントエンド実装やUIデザインでは1ピクセルを見るような仕事をしているので、ディスプレイの性能にはお金をかけています。 いくつかのディスプレイを乗り継いで、最近はAppleのPro Display XDR(メルカリでだいぶ安く入手できた)を使っています。 性能面だけでいえばPro Display XDRを使い続ければ問題ないのですが、よりミニマルな環境で同等なことができれば嬉しい。
MR空間上で好きな位置にディスプレイを配置できるので、遠くに置ければ眼精疲労の軽減にならないかなと言う淡い期待もちょっとあり。 いっぽうで、Vision Proを長時間使用することが原因で新たな健康リスクが生じてしまわないかは気になるところ。
レーシングシミュレータ用途でも使えるかな?
去年Pico 4を購入し、レーシングシミュレータの用途でそれなりに使っています。 VRを使うことで一般的なディスプレイ3枚の構成よりも圧倒的に省スペースでレースシムを楽しむことができ、
- 自車の周囲を直接視認できる
- コースの距離感を立体的に把握できる
などの利点もあります。 Vision Proでこういう遊び方をするのは値段を考えるとかなり微妙ですが、より解像度の高いヘッドセットを使うとどのように見えるだろうか?といった興味はありました。
Apple Storeでの体験プログラム
Apple Storeでは、実際にVision Proのデモを体験することができます(所要時間:30分)。 知人が先に体験していたこともあり、後に続いてみました。
Macの仮想ディスプレイ用途を想定したプログラムではないので、私の知りたかったこと全てに答えが得られるものではありませんでした、残念。 そもそも、VR経験者や具体的な用途を想定できるユーザはこのプログラムの対象ではなさそう。 とはいえ、従来のVRヘッドセットとは段違いの鮮明な映像には驚きました。 特に恐竜のデモアプリケーションでは、ディスプレイのドットやテクスチャの限界を感じることもなく、Vision Proならではの体験と言えそうです。
体験後の疲労感が少し気になりましたが、これは慣れが解決してくれるものと判断。
購入の決め手
現行のVision Proが売れていないこと、廉価版の登場は早くても2025年末になるといったニュースや、その廉価版の仕様が自分の求めるものになるとは限らないことなどを考慮した結果、現時点での購入を決めました。 円安がきついけど、先行きも分からない上に、レートが価格に即時反映される訳でもないので、金融商品を買うよりは後悔も小さいでしょう。
Pro Display XDRを手放すことができれば、その価格にも納得できるんじゃないかなー?
他社の製品じゃダメなのか?
コンセプトが異なる他社のVRヘッドセットに対して数万円のお金を出してあれこれ試す勇気がないからです。 シミュレータ用途を重視して視野角の広い機材への興味はあるけど、本命は仮想ディスプレイ用途で、これらを同時に実現する機材はまだ存在しなさそう。
実際に使ってみた感想
ちゃんと使えています、良かった。
デザインと装着感
造形物としてはとても魅力的だと思います。 しかし重量バランスの悪さはどうしても気になってしまい、毎日使うのは厳しい。 解決策を見つけるまでは返品も考えていました。 高性能な部品が綺麗にまとまっているけど、実用性を考えると「デザインが良い」とは言いづらい。
装着感の改善
ANNAPROのストラップ を組み合わせた結果、大幅に改善しました。 付属ヘッドバンド(ソロニットバンド)の装着感は好きなので、これを活かすことができたのもハッピー。 これで毎日数時間は問題なく使用できそう。 カウンターウェイトを付ける方法なども紹介されていますが、今のところはこれで充分。
操作性とユーザーインターフェース
VRヘッドセットにありがちなコントローラを使わずに済むので、両手が自由に使えてとても快適。 アイトラッキングと指先のジェスチャーの組み合わせで、基本的な操作は問題なくできます。 ただし長時間使用する場合には目の疲労が大きく、目の休ませ方を身につけたり、トラックパッドやキーボードを組み合わせる必要がありそう。 とはいえ、Macの仮想ディスプレイ用途であればここは問題にはならないので、普段は全く気にしていません。
バッテリー
ケーブルの煩わしさはあるものの、Visino Pro本体が複雑になっても嬉しいことないので、これで充分。 バッテリーにTypeC接続で電源を繋げば2時間以上の連続使用もできるので、最近は電源を繋いでの使用を試しています。
App Store
まだ仮想ディスプレイ用途で使う時間が大半を占めているので、あまり多くのアプリは試していません。もう少し知見が得られたら更新します。 どちらかといえば、配信されているアプリで遊ぶよりも、Vison Proアプリの開発を自分自身でやってみたいですね。
AppleCare+が高い
修理コストの大きさをそのまま反映するかのようにAppleCare+の料金も高い。 私は月契約を選択しており、破損リスクを見極めたのち契約解除しようと思います。 前述のANNAPROを付けたことで、変な場所を持って落下させるリスクは抑えられている気がします。
Macの仮想ディスプレイとして使いたい
充分に使えます。
Pro Display XDR(6K)と比べるものではないのは当然として、4Kディスプレイと同等の使い方はできます。
- 仮想ディスプレイをMR空間の遠くに配置することで、目の疲労軽減にも役立っている気がする
- 余計な反射や映り込みがないのはVision Proのアドバンテージ
- 白い画面を広く表示した時などに感じられる、1ピクセル未満の輝度ノイズ(OLEDそのもの)は普通のディスプレイと同じようにある
- もっと安価な端末で同じことが実現できるようになるといいな
VisonOS 2では8Kでの仮想ディスプレイが使えるとのことで、対応を楽しみにしておきます。
レーシングシミュレータ用途でも使える?
使えます。
Steam VRに対応するアプリ経由で、Windows PCと接続できました。 Pico4と比較した限りでは視野角の狭さも気にならず、Vision Proの良さを発揮できます。 Vision Proへの負荷もそれほど大きくないと思うので、充分に選択肢となりそうです。 ただし最終的なレンダリング品質はパソコンのGPUに強く依存するので、これ以上は深追いしたくない。
あと、結局のところ視野角はほしい。 LGが800Rのウルトラワイドディスプレイを出してくれることに期待しましょう。
まとめ
攻殻機動隊のイシカワみたいに、壁に直付けされたHMDが理想系なのかもしれない。
他の人におすすめしますか?
お薦めしません。 ただし、用途や期待値さえ明確にできていれば、Vision Proの導入自体はあり。 1つの形を示せれば良いなと思っています。
余談
ライトシーリングが十数種類あるらしいけど、日本人は大抵の場合33Wという形になるのだとか(それで良いのか?)